投稿者: 栗本奈央子(Naoko Kurimoto) 08 Mar 2018

秋の北澤八幡神社で雅楽を堪能:今月の神社

秋の北澤八幡神社で雅楽を堪能:今月の神社 © N.Kurimoto

「今月の神社」は、自他共に認める神社好きの記者が、より多くの人に神社の魅力を知ってもらおうと始めた企画です。お守りから歴史上の有名人物にゆかりのある神社まで、これから半年間、月に1回、全国各地の様々な神社を紹介していきます。

猛暑もひと段落し、ようやく秋の気配が漂う今日この頃。神社にも、秋祭りシーズンが到来し、全国各地のさまざまな神社でお祭が行われています。神社のお祭といえば、境内にたち並ぶ屋台の数々やおみこしですが、日本古来の音楽や舞である「雅楽」の奉納もあることはご存知でしょうか?今回は皆様に「日本のお祭で体験する雅楽」をテーマに、東京下北沢の北澤八幡神社を紹介したいと思います。

今月の神社プロフィール

名称:北澤八幡神社
御祭神:応神天皇(おうじんてんのう)、比売神(ひめがみ)、神功皇后(じんぐうこうごう)、仁徳天皇(にんとくてんのう)
御利益:安産健康、延命長寿、学問・技芸発展、福徳興産

雅楽を見るなら例大祭へ

北澤八幡神社は、東京の下北沢駅から歩いて約10分の距離にある神社。ここでは、毎年9月の第1土曜日と日曜日に例大祭が開かれ、そこで雅楽の奉納を見学することができます。例大祭というのは、年に1回(神社によっては2回)ある、その神社にとって最も重要なお祭のこと。おみこしが街を練り歩き、境内には屋台が立ち並びと、地域を巻き込んだ一大イベントになります。

神社で楽しむ古来の音楽や舞

雅楽のお話に戻りますが、雅楽とは日本古来の音楽や舞踊のこと。舞を伴うものは舞楽(ぶがく)と呼ばれ、神社では現在でも様々な儀式の際に演奏されています。私が訪ねた北澤八幡神社の例大祭では、「悠久の舞」「胡蝶」「林歌」「陵王」という4種類の演目が演じられました。


(キャプ)息のそろった舞が美しい「林歌」。装束には鼠が描かれている

私の目当ては、「陵王(りょうおう)」という演目。これは北斉(現在の中国)の将軍として名高い高長恭(こう・ちょうきょう)の武勇伝を題材にした舞楽で、管弦のみの演奏のときは蘭陵王(らんりょうおう)とも呼ばれます。絶世の美貌の持ち主だった高長恭将軍が、戦の時に兵士の士気を下げないよう獰猛な仮面で顔を隠していた、という伝説に基づいた舞で、龍の頭を模した面をつけて舞われるのが特徴的です。有名な舞楽なので、何かの機会に見たことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。

陵王の舞は活発な動きが多く、舞楽の中でも特に「走舞」と呼ばれています。鞨鼓(かっこ)や太鼓のリズムと、竜笛(りゅうてき)や笙(しょう)、篳篥(ひちりき)が奏でるメロディにあわせ、足を踏みならし、優雅に、かつ力強く舞う所作はまさに圧巻で、将軍らしい勇猛さを感じました。

今まで様々な神社で陵王の舞を見てきましたが、今回は特に力強さに惹かれ、うっとりと見入ってしまいました。同じ演目でも、演奏のスピードや舞い手の方ごとに雰囲気が違うのは、生の舞台ならではの楽しみといえるでしょう。

宵闇にぼんやりと浮かび上がった舞殿で、ゆったりとした管弦の調べにあわせた舞には、言葉にあらわせない感動があります。祭りの夜、雑踏のなかでも舞台の周辺だけは静けさにつつまれており、平安時代から変わらない、お祭りの雰囲気を堪能できました。

秋の神社はイベントが満載!

秋はお祭や十五夜など、神社で雅楽が演奏されるイベントが数多く開催されます。北澤八幡神社では毎年の定期演奏会もあり、例大祭のように誰でも参加できるのでオススメです。今年の秋はお祭りを楽しみつつ、雅楽に触れてみてはいかがでしょうか?

17年ぶりの登場、職人の技術を集結させたおみこし

雅楽以外にもお祭には数多くの楽しみがあります。祭りの華であるおみこしもそのひとつ。今回の北澤八幡神社の例大祭では17年ぶりに北澤惣町睦神輿(きたざわそうちょうむつみみこし)が登場しました。

約400kgの重さの大きなおみこしで、随所に非常に繊細な細工が施されています。とても高度な技術を使って作られているので、一度壊れてしまうと元に戻せないという話しもあるそうです。


栗本奈央子 / Naoko Kurimoto

栗本奈央子 / Naoko Kurimoto

旅行業界誌「トラベルビジョン」編集部の栗本です。神社が好きで、趣味で全国の神社を巡っています。


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